コスタリカ
現地レポート2019❹ 憲法を律儀に実行する国
2019.1.27
コスタリカ3日目は国会を訪れました。約束した訪問時間は午前8時半なのに、広報担当官が我々の前に姿を見せたのは9時でした。前日にガイドのケンちゃんから「約束の30分遅れがコスタリカ時間」と言われましたが、身を持って体験することに……。
議場に行くと、何やらガヤガヤしています。議員に風邪が流行っており議場にウイルスが蔓延しているので、本日は休会だって……。これまでの富士国際のツアーでは議場に入り議員の席に座って説明を聞けたのですが、今回は「お客さんに病原菌をうつすわけにいかない」と言う理由で、議場には入れません。議場とガラスを隔てた記者席で説明を受けました。
コスタリカの国会の議席は57です。うち女性議員が26人います。昨年の選挙の結果、女性議員がコスタリカ史上で最多となりました。なぜそうなったのでしょうか。
コスタリカでは女性の政界への進出を進めるため、早くからクオータ制を採用しています。この国には小選挙区制などありません。完全比例代表制です。選挙のさい各政党が出す候補者名簿のうち「女性が40%以上いなくてはならない」という法律をかなり前に作りました。でも、女性議員の数は20人に満たなかった。
それはどの党も名簿の最初に男性を置いたからです。3人が当選した党では「男女男……」と名前を載せたため、男女の比率が2:1になりました。これでは男女平等にならないと昨年、選挙法を改正したのです。政党が候補者名簿を作る際、最初の選挙区で「男女男」としたら、次の選挙区では「女男女」としなくてはならない。この結果、男女平等がいっそう進んだのです。
この国は、男女平等と憲法に書いたら、それに沿った法律を作って、現実の社会が憲法に近づくようにするのです。つくった制度が憲法に沿わないことがあれば、さらに憲法に近づくように変えて行くのです。憲法にはいいことを書きながら、現実はまったく違うのに放置している日本社会とは大きな隔たりがあります。
でも、日本でもこのように男女平等を具体的に進める法整備をやれば、女性の進出は実現するのです。理想は幻想だとあきらめるのでなく、一歩ずつ進めて行けばいいのだとコスタリカの現実が教えてくれます。
議員が会議を欠席すれば、その時間の分、給料から引かれます。日本に適用したいことがふんだんにあります。
写真=国会の議場。日本の国会は議員みんなが正面を向いていますが、こちらは議員が向き合う格好。いかにも討論をするための配置となっています。今回は中に入れなかったので、前に訪れたときの画像です。左側のガラスの向こう側が傍聴席です。
写真=議場とガラスを隔てて傍聴席があります。ここに横断幕でもプラカードでも、何を持ち込んでもかまいません。ガラスのあちこちがひび割れています。傍聴者が議員の発言に怒ってガラスをガンガンたたいたため、ひびが入ったのです。