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ジャーナリズム

中南米特派員時代の1週間

2015.11.17

中南米特派員のころの忙しさは凄まじかったなあ、と1986年に書いた記事を思い出しました。今から30年近く前の僕の「日常」です。

特派員メモ

特派員はどんな仕事ぶりなのか、と問われることがよくある。ちなみに、ニカラグア出張中の1週間をつづると――。

日曜日は、農村事情取材のため山道を小型4輪駆動車で8時間走り、月曜日は、朝5時に起きてゲリラと政府軍の戦闘の最前線に向かう。発熱していたが、砲声が響く中を飲まず食わずで歩き回り、帰り着いたのは午後10時。身についた砂ぼこりで、ふろの水が土色になった。

火曜日の午前中は、締め切りに追われたベネズエラの石油事情記事を書き、午後は急に決まったニカラグア副大統領との単独記者会見をこなす。水曜日は、飛行機で隣国コスタリカに飛び、翌日の大統領就任式について取材。木曜日は、山奥の難民キャンプへ車で7時間かけて行き、夜はこの日の大統領就任を送稿する。

金曜日は、再度ニカラグア入りするためのビザと切符取得に奔走し、夜は中米情勢の記事書きと資料整理で、仕事終了は午前3時。飛行機に乗るため午前4時半に空港に行かねばならず、完全徹夜で空港へ。

ニカラグア入りは午前7時。国際電話で申し入れていた取材の約束は同7時45分で、空港から車をとばし1分遅れで到着。さらに熱帯の炎天下、日なたで3時間、大統領らの話を聞き、急いで昼食をとり、トラックの荷台に乗って郊外の民兵射撃訓練場取材へ。ホテルで荷物を解いたのは午後7時だった。

これなどはまだましな方で、1週間に3度徹夜することはザラ。なにせ中南米は広大だ。支局のあるブラジルのサンパウロから、赤道を越えニカラグアに行くのに2日近くかかる。せっかく来たのだから何でも見てやろう、と欲張る。結局、出張中の平均睡眠時間は4時間半。1カ月のうち3分の2は出張している。この1年10カ月の間に延べ108カ国を回った。(伊藤)


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