個人的な話
笑って学んだ「芸人9条の会」
2016.4.4
今夜は妻とともに「芸人9条の会」の公演に行きました。いやあ、良かったですね。久しぶりに心から笑えました。でも、それだけではありません。感心したのは、芸人のみなさんがこの短い舞台のために相当な準備をしていたことです。しかも満席の観客の心を完全につかんでいます。
ずいぶん参考になりました。僕も講演のたびに話す内容を用意をしますが、ややもすればあちらで話したことをこちらでも、と同じ内容になりがちです。それではいけない。一席一席が新たな機会だという当たり前のことが、改めて身に沁みました。
思えば23年前に地元の狛江市の小さなスタジオで時事問題のトークショーを始めたとき、客が何人来てくれるか不安でした。しばらくは一桁です。10人を超えたとき、どれだけうれしかったことか。それが64回となり、客も常時50人を超えるようになりました。毎回違うことを、よくもあれだけ話せたものだと今、思います。あの舞台が、僕の語りの能力を鍛えてくれました。
まだ客が一桁だったときに、僕の舞台を見に来てくれたのがマルセ太郎というパントマイム芸人です。「スクリーンのない映画館」という独自のジャンルを創り上げ、迫力ある芸をする人でした。一般的に物書きに慣れた新聞記者は話が下手だと言われますが、僕は彼のような聴き手に鍛えられました。
今夜、舞台でトリを務めた松元ヒロさんが、自分が語ったことは観客のみなさんが言わせてくれているのです、と言いました。僕の思いに通じるような、いえ、芸の原点を見るような思いで受け止めました。
この会を準備した菊千代師匠には頭が下がります。フリーのジャーナリストになって営業活動の大切さは身に沁みますが、長年、組織に慣れた身には面倒なものです。でも、自分が下働きし率先して動かなければ物事は進みません。
ほかにも、趙博の阿呆陀羅経には舌を巻いたし、文福師匠の浪花魂は強烈だったし、オオタスセリという新人類のような芸人には目を見張ったし……。
笑った以上に、がんばるぞ~と清々しい気持ちになれた夜でした。